ボーイズラブ(BL)本についてのいくつかのこと 残日録221123

ボーイズラブ本について書こうとして、紹介が面倒だからと、Wikipediaからコピペしようとしたら、「信頼性」「精度」が低いなどと書かれており、参考にならないと思ったが、「堺市立図書館「BL」本排除事件」の件はまあまあまとまっていたので、コピペしてみた。
文中の統一教会は現在の「世界平和統一家庭連合」である。

堺市立図書館「BL」本排除事件
2008年に大阪府の堺市立図書館で、ボーイズラブ小説が収蔵・貸出されていることを非難する「市民の声」によって廃棄が要求され、ボーイズラブとされた5500冊の本が開架から除去される事件が起きた。この「市民の声」というのは、実際は「匿名市民ひとり(同一人物)から」と、その意向を受けた市議たちで、このことは図書館側も認めている。市議の水の上成彰は「世界日報」の記事で、図書館にボーイズラブがあることを激しく批判し「実質的にポルノ本」であり、図書館にあるのはおかしいと主張している。市民活動家の寺町みどりは、「堺市に届いたメールから分かったことは、特定図書を排除したい人たちは、『同性愛』自体を嫌悪している。同性愛への差別と偏見から『BLをこどもに見せるな』といい、『BL本を処分せよ』と迫った。」と指摘している。
このボーイズラブ本除去運動は、議員の介入、純潔教育やジェンダーフリーバッシング、漫画・アニメ・ゲームの性表現や暴力表現に法的規制をかけるためのロビー活動を行っている韓国発祥のカルト・統一教会の関連会社「世界日報差社」のバックアップを受けていたことが指摘されている。(なお、統一教会は「同性愛は創の原理に反する不自然な関係」であるとして否定しており、「同性愛は倫理道徳の問題であり、人権問題ではない」と主張している。)図書館が示す排除の理由は二転三転し、ボーイズラブとされる基準も不明瞭であったが、ボーイズラブ本として約5500冊がリストアップされ、堺市側は、これらの本は「全て閉架に保存」「今後は収集しない」「青少年には貸出しない」と決定した。この意思決定に至る議論や経過は記録に残っていない。図書館の定まらない対応に、市民は不信感を募らせた。
この事件以前に福井でも、バックラッシュの流れの中で、ジェンダーやバンジョ共同参画に関連するとされた本「ジェンダー図書」が、「市民の声」によって図書館から排除される事件が起きており、原因究明のために東京大学名誉教授上野千鶴子・寺町みどりらによって「ジェンダー図書排除」究明原告団が結成されていた。寺町は福井の事件以降、同様の事件を防ごうとバックラッシュ派のインターネット掲示板「フェミナチを監視する掲示板」に注視しており、そこで匿名男性が図書館にBL本が大量にあるという苦情の電話をかけていることを知ったと述べている。同原告団は堺市の決定を同様の問題ととらえ、連絡を受けた早稲田大学の熱田敬子は除去リストを分析した。熱田敬子は、除去リストには宮乃崎桜子『斎姫異聞』(第5回ホワイトハート大賞を受賞した少女小説)なども含まれており、深く検証する前におかしいことがわかるようなものだったと述べている。堺市は排除理由を「過激な性描写」のあるものとしたと回答しているが、性描写のない本、ほとんどない本も含まれており、「挿絵」も理由として挙げられたが、挿絵に裸や性表現のない本やそもそも挿絵のない本も含まれていた。男性同性愛の要素のない少女小説やセクシュアル・マイノリティの日常を描いた作品が含まれていたり、同じ作家のBLとされる作品でも出版社によって指定されたりされなかったりであったり、同一シリーズの一部だけが指定されていたり、ライトノベルは指定されるが文学は指定されていない、少女向け・女性向けと思われる本は指定しているが、男性向けでセックスをするのが男女であれば性描写の程度に関わらず指定されていない、男性同性愛がテーマでも「ゲイ文学」と認知されているものは含まれていない、性描写の程度では振り分けされていない、ストーリー性や文学性があっても同性愛表現があるだけで指定されているなど、図書館員が共有する基準を持たず各々の判断で選んだかのように一貫性がなく、暗黙の差別があらわになる除去リストであったという。(具体的な内容は、熱田が整理したリストを参照のこと)
堺市の決定に対し、報道やネットで賛成反対様々な意見があがり、BLが図書館にあることを批判する声や、BLの読者を嫌悪するような意見もあった。「図書館の自由」や「表現の自由」を守るため、上野らや市民団体、全国の議員などが反対の声をあげ、堺市長と堺市教育長に対し、市民97人、議員46人、7団体による申し入れがされた。堺市に対して、上野を代表に市民などから監査請求も行われた。監査請求の後、堺市立図書館は「青少年への提供は行なわない」との方針・合意を撤回し、「請求があれば18歳未満にも貸し出す方針を決めた。同日から運用を始めた。」と新聞で報道された。堺市は「拙速で、判断を誤った」としている。「BL図書は収集・保存しない」という措置は、2008年時点では見直されていない。
堺市立図書館は、BL本排除を決定するよう外圧があったことを否定している。これに対し寺町は「インターネットにおける各種情報や新聞等の報道からも、また、事案の経過からも事実に反する。」と述べている。
寺町みどりは、同性愛への嫌悪に基づく要求に従った堺市立図書館にも、「『ボーイズラブは青少年に見せてはいけない』という予断と、セクシュアル・マイノリティへの偏見があったのだろう。だからこそ、堺市立図書館で起きたことは、『ジェンダー図書排除』事件にほかならない。」「巷にあふれる『BL本』の悪いイメージをことさらに振りまいて、自己規制を迫るのは、差別する側の常套手段だ。(中略)わたしは、図書を選別し、区別し、隠すことこそが『焚書』であり、『差別』につながると言いたい。」「『どのような理由であろうと蔵書を排除しない』を基本原則としない限り、第二第三の『図書排除』事件は、起きるだろう」と述べている。
熱田敬子は、そもそも図書館から本を大量に除去することが大問題であるが、このような乱暴な指定で図書を除去することの原理的な問題として、大きく分けて「『BL』という恣意的な括りで、本が排除されるということ」(BLであるかどうかの明瞭な定義はないので、図書館は除去する本を恣意的に選べる)、「『BL』を一括りに排除することがそもそも恣意的である、ということ」(図書館はゾーニングをするべきか)の2点があると述べている。 他に論点として、次のものが挙げられている。
• BLとは何か。
• BLはわいせつか。18禁か。ポルノか。
• BLが有害であるとするなら、「誰にとって」「何故」有害なのか。
• わいせつ図書は図書館にあっていいのか。
• 図書館の自由という観点において、堺市図書館の対応はいかがなものか。
また論争における問題点として、次のことが指摘されている。
• 図書館の自由に基づきありとあらゆる知を提供するという図書館の立ち位置が知られていない。
• BLへの不快感/自重意識から、思考停止または論点のすり替えが行われた。
この事件は、表現の自由の侵害であると同時に明確な差別事件でもあったが、その点は理解されにくく、当時は報道でも識者の間でもあまり注目されなかった。背景には、女性が性的表現を享受することに対する女性自身の後ろめたさや世間の冷淡さ(保守的なフェミニストも含む)、男性オタクからの腐女子へのバッシングだけでなく、ホモ・フォビアやセクシャル・マイノリティ差別があることも指摘されている。
BLに対する表現規制の動きはその後も継続しており、たとえば2020年代現在、東京都青少年の健全な育成に関する条例によって毎月指定される不健全図書の大半はBL作品となっている。指定された作品は都内で青少年向けに販売できなくなるほか、Amazon.co.jpにおける販売が停止される(不健全指定された書籍のタイトルなどは東京都のウェブサイト上の不健全指定図書類一覧で確認できる)。参議院議員の山田太郎は、こうした青少年健全育成を理由としたBLの規制に危惧を表明している。
 
以上であるが、この部分はバランスの取れたものになっている。
10年近く前のことだが、図書館情報学学会で大学院生(女性)が「公共図書館におけるBL本の所蔵に関する予備調査」のような内容を発表した。予定稿にゲイとBLの親和性というか、BLがゲイへの差別解消につながるようなことが書かれていて、それは一概に言えることではないだろう、と指摘したことがある。
隣の席の大学教員が「そんな本があるのか」とつぶやいていた程度だから研究者の話題としてBL本が広がることはなかったように思う。堺市の事象は図書館現場の論議もあまり活発ではなかったように思う。

私の関わった高月図書館では、大半のBL本は閉架あつかいであった。なかには過激なものもリクエストで購入することがあった。興味深かったのは、木原音瀬のリクエストがほとんどなかったことで、BLが本リクエストの常連に聞いてみたら「持っておきたい本は自分で買う」との返事だった。図書館の書庫にあるBLが本は的ハズレが多いのか、と思ったりした。凪良ゆうや鳩村衣杏、椹野道流のBL本も蔵書にしては少ない。烏城あきらにいたっては蔵書にない。
烏城あきらの「許可をください1~6」シリーズは最後の7巻目が未完のままになっている


中小化学薬品製造業・喜美津化学の品証部に勤務する阿久津弘は初の四大理系卒のホープとして期待されている身。そんな弘が社命でフォークリフトの免許を取ることに。慣れない乗り物の操作に難儀する中、指導係として遣わされてきたのは製造部の若頭・前原健一郎。弘と同い年であるにもかかわらず同僚からの信頼も厚く、独特の迫力と風格を持ったこの男に、弘はとある出来事がきっかけで苦手意識を持っていたのだが、意外にも前原の方は-。それなりに平和な工場ライフを送っていた弘を襲う前代未聞の"男×男"関係、ガテン系濃密ラブ。

と、紹介されていて、感想として以下を引用しておく

お仕事BLの最高作品かと思います。工場ってこういう仕事してるんだな~と感心しまくり。
CPは同僚で部署違い。
いわゆる現場主任×デスクワークの品質管理部門の新人。
オラオラ系×ど天然美人で、もちろん攻の押せ押せで関係が深まって行きます。
お仕事で揉めつつ、互いの恋心でもすったもんだありと、素晴らしくドタバタしていてとても楽しい!
泥臭いほど男っぽい攻と、負けん気の強いこちらも大変男らしい受。
仕事に対するプライドと恋心の折り合いが互いにつかず、イライラオロオロムラムラ。ほんと愛おしい男たちです♥

最終巻がいまだ発行されず・・・と、本当に出てくれるのかしら・・・と、それでも信じて待つわ・・・と、首を長くしておりますが、お話しとしては1巻完結ものなので、臆せず手を出して大丈夫な作品ですよ。

私も評価の高いBL本だ。
鳩村衣杏の作品は、男社会の会社で働く女性が「男社会での処世術」を学ぶ本などもあって注目していた。業界物も面白い。

2022年11月23日