「助六曲輪初花桜」(特選DVDコレクション.松竹) 残日録220501
1998(平成10)年2月、15代片岡仁左衛門の歌舞伎座での襲名披露公演で収録されたもの。
仁左衛門はこの年の1・2月を歌舞伎座で、
1月昼 菅原伝授手習鑑・寺子屋の松王丸 源蔵=吉右衛門・千代=芝翫(7代目)・戸浪=菊五郎
1月夜 廓文章・吉田屋の伊左衛門 夕霧=雀右衛門(4代目)
2月昼 一谷嫩(ふたば)軍記・熊谷陣屋の直実 相模=雀右衛門(4代目)・弥陀六=羽左衛門・義経=團十郎・藤の方=玉三郎
2月夜 助六曲輪初花櫻・三浦屋格子先 後述
4月松竹座
4月昼 菅原伝授手習鑑・寺子屋の松王丸 源蔵=團十郎・千代=雀右衛門(4代目) ・戸浪=菊五郎
4月夜 恋飛脚大和往来・封印切の忠兵衛 梅川=秀太郎・八右衛門=我當・治右衛門=富十郎・おえん=鴈治郎(3代目)
5月昼 伊勢音頭恋寝(こいのねばた)の貢 喜助=富十郎・万野=芝翫・お紺=鴈治郎・お鹿=勘九郎(5代目)・万次郎=梅玉・お岸=秀太郎
5月夜 助六曲輪初花櫻・三浦屋格子先の助六 揚巻=玉三郎・意休=我當
10月御園座
10月昼 廓文章・吉田屋の伊左衛門 夕霧=玉三郎
10月夜 助六曲輪初花櫻・三浦屋格子先の助六 揚巻=玉三郎・意休=左團次
12月南座
12月昼 廓文章・吉田屋の伊左衛門 夕霧=鴈治郎(3代目)
12月夜 一谷嫩(ふたば)軍記・熊谷陣屋の直実 相模=雀右衛門(4代目)・弥陀六=富十郎・義経=團十郎・藤の方=秀太郎
1999(平成11)年 公文協巡業東西コース
7・9月昼 廓文章・吉田屋の伊左衛門 夕霧=時蔵
7・9月夜 双蝶々曲輪日記の与兵衛 長五郎=左團次
2000(平成12年)2月博多座
2月昼 菅原伝授手習鑑・寺子屋の松王丸 源蔵=富十郎・千代=芝翫(7代目) ・戸浪=秀太郎
2月夜 恋飛脚大和往来・封印切の忠兵衛 梅川=秀太郎・八右衛門=我當・治右衛門=富十郎・おえん=宗十郎
というところで、今回観たDVDの「助六」の配役が懐かしい。
花川戸助六 片桐仁左衛門
三浦家揚巻 坂東玉三郎
三浦家白玉 中村時蔵
通人 里暁 澤村藤十郎
福山かつぎ 坂東八十助
三浦家 傾城 中村翫雀・中村信二郎・片岡孝太郎・片岡愛之助・中村扇雀
くわんぺら門兵衛 片岡我當
白酒売新兵衛 尾上菊五郎
髭の意休 中村富十郎
母 満江 中村鴈治郎(3代目)
八十助、富十郎、鴈治郎=藤十郎が物故者に、我當と澤村藤十郎が病気休演。
澤村藤十郎の通人、これは役者が工夫して笑いを取る役どころ、品が良くて出過ぎないでなかなかいい。藤十郎の舞台を見ていないことを思い出した。めっきり演劇から縁遠くなっている。
このところ、松竹は「孝玉コンビ」再来のごとく、仁左衛門と玉三郎の共演を連発しているが、「助六」はもう出ないだろうと思うと、このDVDは貴重だ。
歌右衛門は昭和60(1985)年12月の南座での団十郎襲名披露の揚巻が最後のようだ。68歳の時。玉三郎72歳
渡辺保氏のブログに、昨年十一月の歌舞伎座での仁左衛門の「連獅子」評で「後半元気に毛を振り続けるのはいいが、体を大事にして欲しい。今や歌舞伎界になくてはならぬ大看板だからである」とあったが、仁左衛門はこの3月に「体調不調」で数日休演した。仁左衛門77歳。