故松本亮三井上靖文学館館長への追悼文集『始まりは出会いにほかならない』(2016)への文 残日録210623
PCのドキュメントにこれがあったので記録として残しておきたい。松本氏を検索すると、もっと情報が出てくると思っていたが、そうでもなかったのが意外だった。私と同じように、語り継ぐ余裕がない、そんな時間が流れているのだろう。
不思議な魅力
明定義人(元滋賀県高月町立図書館長)
井上靖記念文化財団の井上靖賞授賞式の式場での松本さんのお姿が印象に残っている。そういう世界に関わりを持たなかった経歴の方だったが、ご自身ができることを自然な振る舞いでなさっていた。難しいポストだろうになるほどの人事だと思った記憶がある。
現職のころはなかなか伺うことができず、お会いするのは滋賀に来られた時が多かった。年末に伊豆の方々と一緒に来られたこともあった。まちづくりに関わっておられる活動の一端を知ることができた。
退職後、昨年、やっと時間が取れて、文学館でお世話になったお礼を申し上げた。いろんな方々のご指導、ご支援をいただいてきた。氏もそのお一人である。
不思議な魅力をもった方だった。ご一緒すると、世知辛いや所在のないところから、遥か遠くにいる気持ちになったことを思い出す。
もっともっと取り組みたいことが沸き出てくる時間や、ひととのつながりのなかから生まれる一座建立の場が、氏の前途にあった。清清とした老いと向かい合うことなく急逝された。クレマチスの丘に白い空隙が生まれた。残された者はそれを閉じていかねばならないのだ、と遠く湖北にあって思う。
「松本館長を偲ぶ会」の趣意書 松本館長を偲ぶ会 発起人一同
昨年9月29日、井上靖文学館館長の松本亮三氏が急逝されました。
松本館長は、井上文学が広く世代を超えて読み継がれることに大きな情熱を注ぎ、日本全国各地の井上文学を愛し、井上先生を慕う方々とのネットワークを築いてこられました。その功績が井上文学愛好家の間で高く評価されているのは周知の通りです。
昨秋の突然の別れに際し、これまで親交のあった多くの方々より改めて松本館長のその功績を讃え、お人柄を偲びたいという声が非常に多く寄せられております。
つきましては、是非松本館長と親交のありました皆様のご参加を賜りたくお願い申し上げます。
尚、詳細につきましては皆様と今後詰めてまいりたいと存じますが、現段階では本年5月末、三島プラザホテルでの開催を予定しております。また、同時に追悼文集「はじまりは出会いに他ならない」を作成し、当日配布する予定でおります。