残日録18 ミサイル防衛

 雑誌「k-peace 8月号」が届いた。「婦人新報」の改名した雑誌。編集兼発行人は「公財 日本キリスト教婦人矯風会」で1886年設立という歴史ある団体。今月号は「〝安全保障のジレンマ”を越えて」。孫崎享(ウケル)氏の講演会の要旨が掲載されている。「平和を希求する方々の弱点は軍事の勉強をしていないことです。ゆえに「日本でも軍隊で防衛をすべき、そのために改憲をすべき」という声に有効な反論ができない」とある。前田哲男のほかに思いうかばない。孫崎氏は、元外務省国際情報局長、元防衛大学校教授、東アジア共同体研究所所長。

 ミサイル防衛ができない理由として、次の4点を挙げている。

◆弾道ミサイルは、大気圏外で秒速2000mから3000m、日本への落下時もほぼそれくらいと推定されている超高速。他方これを遊撃するPAC3の速度はマッハ5、秒速1800mで、迎撃するほうが遅い

◆北朝鮮は日本へ攻撃できるノドンを200から300実戦配備していると言われる。中国は、日本を狙える短距離弾道ミサイル・中距離弾道ミサイルを1200以上配備していると言われる。これらの配備場所を日本政府は把握できていない。かつ、北朝鮮・中国が日本の政治・経済・社会の中心地を狙うとして、その着弾地を1m以内の精度で把握できなければ遊撃するための軌道計算ができないが、そんなことは不可能である。

 それでも「ミサイル防衛成功」の報道があるではないか、と思われますか? 成功するのは、軍事基地の核弾頭へのピンポイント攻撃に対する防衛だけ。広範囲におよぶ我々の生活圏を守れはしません。

◆300㎞以上の上空を飛ぶ弾道ミサイルを撃墜するのは不可能

◆時々、敵が攻撃する以前に相手国ミサイルを破壊してしまえという敵基地攻撃論が述べられるが、北朝鮮の、日本を攻撃できるノドン200から300発の配備場所をも把握していないでどう攻撃できるのか。数発破壊できても残りで報復攻撃される

 

 こういうことをマスコミは取りあげないなあ。

 ではどうしたらよいのか。

 「この(欧州)の例にならい、東アジアでも「東アジア共同体」を模索し、「憎しみ合い」から「協力の果実を認識し合う」体制をとる時です。「協力することによって武力紛争を回避しよう」という観念は、異なる政治体制間でも十分に成立するのですから。」

 

2018年08月12日