菅野青顔 再び



以前、青顔について書いたことがあった。後日、ブログを読まれた市立気仙沼図書館の元館長の荒木英夫氏から、自ら書かれた「菅野青顔」の論稿の複写をいただいた。お手紙では、昭和4年(1929)の気仙沼大火に罹災した経験から、海岸線近くの市中でなく、青顔の強い意志で、住民にとって不便な高台に図書館を立てている。このことが気仙沼図書館の蔵書を津波からまもることとなった。荒木氏は青顔の先見の明に脱帽しておられる。

 青顔の活躍については「気仙沼市の図書館100年のあゆみ」がPCでその概略を知ることができる。



 この程度のことなら「「菅野青顔 +追記+また」として書き足しておくこともできたのだが、安藤鶴夫『新版百花園にて』(三月書房.1999)に菅野青顔らしき人物を発見したので、「再び」として載せることにした。



みちのく本〈巷談本牧亭〉(P190~195)

 読売新聞で、日曜だけ休載というへんてこな連載をはじめた。ということは、正直いって、週にいちど休みになるということは、たいへん、書きにくかったということである。

 だから、去年の一月四日の夕刊からはじまって、六月二八日の夕刊で、ぴたり一五〇回を終わって、それから、たしか、二週間も経たない七月の話である。

 宮城県気仙沼市笹ヶ陣というだけでも、わたしはびっくりしたのだが、その市立図書館とあってえ、その図書館の館長さんなのか、司書さんなのか、そのへんはまるっきりわからないのだけれど、S・Sという方から新聞が届いた。

 なんだろうと思って、さっそく、帯封を切って、その地方新聞をあけてみて、びっくりした。

 文化面、あるいは文芸面とおぼしきページの、トップに、五段抜きの写真で〝巷談本牧亭〟の本が出ている。

〝巷談本牧亭〟とあって〝安藤鶴夫著〟という、たいへん、立派な本である。

 ぎょっ、という感じと、えっ?まじりあったショックである。

なぜかというと、わたしはまだ、〝巷談本牧亭〟を本にした覚えがないからである。(略)

なにがなんだかわからず、S・S氏の文章を読んだ。

それによると、はじめ、なにげなく〝巷談本牧亭〟を読んでいると、いつもの園芸読みものなんだなと、バカにして掛かっていたら、そのうちになんだか巣k地違ってきて、とうとう、読者になって、こんどは、毎日、新聞のくるのを待つようになり、終わって見事な製本をして、それを撮影して、そして書評を書いたというのである。

(略)

私は、著者の私が知らない間に、この世の中にちゃんと〝巷談本牧亭〟が本になっていることを知って、感動し、涙をこぼした。

しかも、それが宮城県気仙沼というところである。

(略)

そんな遠いところで、みも知らぬひとが、わたしの本をつくって、机の上にのせて下さるということは、なんとも、ありがたいことである。

(以下、略)

20200831

2021年01月09日