葉月雑記 残日録240806
コロナ禍が広がっているようで、合唱団のメンバーが数人感染したことは前にふれておいたが、なかのお一人が、コロナから肺炎になり昨月の下旬に脳梗塞がわかり、逝去された。コロナからの一連の継続であったのかはわからない。普段、ほとんど気にかけてはいないので、たまに雑踏でマスクをする程度だが、周りからは気をつけるようにとのお言葉がある。
お盆は加古川に帰る。ごえん(院家)さんと、遠縁の無縁仏となっている墓をしまうについて、相談しなければならない。お盆はお忙しいだろうから、9月にするか、などと急ぐわけでもないので引き延ばし、都合の良い石屋さんも紹介してもらおうとしている。「明定家の墓」というのを父が生前に建てたので墓仕舞いしなければと思っていたが、弟が母親の「お骨」を墓と本山に分骨するといい出したので、「墓」はそのままに、となる。父の兄が戦死しているので、戦死者の墓があるのだが、こういう戦死者の墓というのも残しておいたほうがいい、というので、これも当面残すことにする。
氷河期に向かっている地球の今の温暖化については、CO2の影響が言われるので、そんなものかと思いもするが、そこからの対策の話になると、複雑すぎてよくわからない。気候変動が地球の歴史において許容域でありやなしや、となると不確かなことである。
よくわからないのにはいろいろある。電気自動車のほうがガソリン車より環境に良い、という意見もあるが、ガソリン代や電気代は政策的に決まったり、国際的な政治状況に影響を受けたしする。そういうところから離れて、素朴にどちらが効率的でECOか、を学びたいと思う。「縮小社会」化しているという立場からだと、また違った論点も生まれよう。
火力発電より原子力発電のほうがECOだ、というような論が出ると、言いっ放しのように思う。「原子力発電」そのものと現行の原子力発電施設とをぼんやりと一括りにして論じるのは如何かと思う。現行の政治体制下での原子力発電は犯罪だが、良き体制に変革し「民主的な原子力行政」を行うと問題ない。という見解も過去にはあったようにも思う。「原子力発電の作り出すゴミ」が未来永劫、悪い物質ということもないだろう、とも思う。だがしかし、現行の原子力発電施設が当面「ゴミ」問題を解決できていないっことは確かだ。
「一冊の本」(2024.8)の太田光の「芸人人語」が「一〇〇年の森」と題して「神宮外苑再開発」について取り上げていて、いろんな立場の意見を紹介している。お忙しいだろうにと思う。労作だ。
「もう紙面がいっぱいだから、簡単に書くと、環境破壊への懸念による反対。景観が変わることへの懸念による反対。樹木の伐採に対する反対。伝統ある球場、ラグビー場が取り壊さえることへの反対。アマチュアスポーツ施設、例えば軟式野球場などがなくかることに対する反対。再開発計画について市民との対話が足りていないと感じることに対する不満からくる反対。環境アセスメントのデータが完全に開示されていない、あるいは間に合っていないことに対する不信感からの反対。ここまでにいたる政治的プロセスが不透明であることに対する反対……!?など、他にもたくさんある。/これらを全て整理した上で冷静に議論するのは、至難の業だと私は今、この文章を書いていて思う。」(p84)
この春、創刊された「地平」という雑誌の創刊号に「鼎談 地域・メディア・市民」があり、内田聖子(NPO法人アジア太平洋資料センター共同代表)と岸本聡子(杉並区長)、南彰(琉球新報編集委員)の鼎談が載っている。司会は熊谷伸一郎(「地平」編集長)。
岸本 ……杉並区には五七万人の住人が暮らしていますが、住民にとってとても重要な課題、たとえば地域の再開発などの問題をとってみても、ほとんどメディアでは報道されません。外苑の再開発問題は全国紙で報道されていますが、杉並区だけではなく都内のほとんどの区で急速に進められている巨大な開発・再開発プロジェクトは、住民生活に重大な影響を与えるにもかかわらず、ほとんど報道されません。ローカルな開発問題を取材して報道しているのは東京新聞だけですね。
今の国会に、問題の多い地方自治法改正案が出ていて、私たちLIN-Netでも声明を出しているのですが、これについて書いてくれたのも東京新聞だけでした。地域や地方自治における私たちの主体性や主権の重要性ということを全国紙が伝えるということは、難しいのかな、と。(p87)
岸本 ……特に、東京二三区のような基礎自治体では、たとえば大きな都市計画やインフラ整備について、東京都や政府が決めるのは当たり前だと思ってしまう雰囲気があります。たとえ私たちが事業の主体でなくても、地方主権という意味では、きちんと情報公開を求め、その内容や意味を区民にきちんと伝えていく責任があります。私たちは自治の主体であるのに、最初から「自分たちは事業主体でj¥はないから」と、情報を得ることや、それを共有して住民と議論し、都や国に対して意見を述べることを諦めてしまう。これをどうするか。それが今、私にとって大きな問題意識の一つです。(p90)
内田 ……地域の情報を共有して議論していくことの重要性を住民の観点から見てみると、自分たちの政策を実現しようとする首長を誕生させることに成功したとき、そこから住民が「非評者」でなく「自分ごと」としてどうそれを支えていくか、という課題です。私たち住民の側もアップデートし、民主主義や自治を進化させるマインドが必要です。(p90)
岸本 ……住民が地域コミュニティの中で地域課題に向き合うことができる環境が大切だと思います。メディアと緊張感を持ちつつも連携して情報を共有し、行政職員とも議論し、住民とも絶えず議論して、私たち自身の手で政策を地作り、社会的な合意形成をしていくということ。そして、それを本気で実践する力が自治体にはあるのだということを見せていきたい。状況は厳しいですが、危機感とともに希望を感じているところです。(p91-92)
雑誌「地平」の編集長、熊谷伸一郎は岩波の「世界」の編集者だった人。
私たちは、2024年6月、あらたな言論の拠点として、雑誌『地平』を創刊します。
時代が提起する課題と向き合い、思索し、そして変革をめざす風が興るとき、そこには必ず雑誌という形で言論の拠点が存在します。
私たちがめざすのは、まさにそのような雑誌です。
とあり。
創刊(7月)号「創刊特集 コトバの復興」。8月号「特集 右翼台頭」。9月号「特集 ジャーナリズムをさがせ」
9月号は来週に本屋に行き他の定期購読とともに入手予定。
最近、入手した雑誌に「外交」がある。都市出版株式会社から隔月で出ている最新号で86号となっているのに、田舎住まいでもあり、都会の本屋通いもずいぶん遠のいてたので気づかなかった。No.85はアメリカの大統領選が特集だった。バイデンが舞台から降りたので時事的には古くなった印象を受けるが、アメリカの政治状況を日本の側からどうみているのかは読むことができる。
同号、座談会「韓国総選挙のとらえ方」から
箱田(哲也 朝日新聞記者)
よく、「韓国外交は大統領の専権事項で、国会は関係ないから変化しない」と言われますが、私はやや懐疑的です。伊大統領の求心力は、今後ますます失われていくでしょう。与党内のみならず、実務当事者たちのパフォーマンスにも影響して来るのではないでしょうか。
とりわけ、いま万代なのは徴用工問題です。財団を設立して第三者弁済方式をとることで、何とか日本企業に実害が及ばない解決策を出したわけですが、基金の枯渇が追っています。韓国政府や与党の間からも、日本がもっと協力してくれれば、といった声が強まってイます。
二〇一一年、当時現職の李明博大統領が竹島に上陸したことがありました。李氏の元側近たちに取材すると、単なる支持率上昇のパフォーマンスだけではなく、李氏が大統領として勧めてきた対日政策に日本側が一定の呼応をしてくれなかった失望感が背景にあったというのです。日本はこの教訓を忘れてはならないと思います。合意が成立すれば終わりではなく、アフターケアが大切です。明治日本の産業革命に関する世界遺産をめぐる問題では、韓国側から「日本がゴールポストを動かした」という指摘が出ています。これらのマネジメントは重要なのです。
特に注意しなければならないのは、最近、LINE・ヤフーと韓国NAVERの提携について日本の総務省が行政指導をした問題です。日本で思われている有情に韓国では深刻に捉えられており、日本による半導体素材輸出規制強化(一九年)の第二弾なのではないか、との指摘さえ出ています。日本の政府に悪意がないのならば詳しく説明し、外交的にご可の芽を早く摘む必要があります。政府間で伝えるだけでなく、一般の韓国の人々にもわかるような「メッセージ」を出し続けなければなりません。
磯崎(典世 学習院大学教授)
私も同意します。伊政権の初代外交部長館として大統領と遺書に二三年に訪日し、元徴用工訴訟問題の解決策を発表した朴振は、今回の総選挙で落選しました。彼は政権初期の対米・対日関係改善の「顔」でもあったわけで、伊政権の外交が青果として評価されていない象徴的な例だと思います。今後大統領が、対外政策を変えずに推進していくのは簡単ではないでしょう。箱崎さんが言われるように、日本外交のあり方として相手国の国民にきちんと届く」コトバで説明するという配慮が不足していると思います。徴用工問題の解決策は韓国側として思い切ったのに、日本側は伊政権と合意しただけで全て韓国任せにしていることが、韓国も区民の大きな不信を招いています。
経済に影響する日本の政策への国民の反応はより激しいものがあります。文在寅政権期の日本製品不買運動も、徴用工問題ではなく半導体素材輸出規制強化が契機でした。そのテンでLINE・ヤフー問題の対応は注意を要します。韓国のNAVERがLINEというアプリを開発し育ててきたのに、日本の総務省の行政指導で経営権が奪われる――すなわち「韓国経済の需要な成果を日本が奪っていく」といった報道がされ、誤解が広まっています。
(p67-68)
No.86は「欧州は国際秩序を担えるか」が特集。
編集:『外交』編集委員会は、委員長;中西寛(京大)、委員;飯塚恵子(読売)、川島真(東大)、細谷雄一(慶応)。編集長;中村起一郎
今週から高月まちづくりセンターで「読み聞かせ教室」を開く。5回の講座にしていただいた。主催は、高月の読み聞かせボランティア「みどりのふうせん」。レジュメは「いつも」のものを使う。
20数年前に、滋賀県教育委員会事務局とともに「教員のための読み聞かせ入門」という研修講座を立ち上げたことがあった。当初の数年間に試行錯誤して作成したレジュメをこういうときには使っている。例示している絵本は古典だから変更せず、講座の中ではそれとは別の比較的新しい絵本を紹介している。
絵本はロングセラーの定番ものが多く、それに加えて、新しく定番となりそうな作品を紹介するのがよいと思っている。
絵本がこども向けにつくられるのではなく、読む世代を問わずにつくられていること、ブックスタートの影響もあってか、乳幼児向けの絵本の出版がさかんなこと、などを言っておくのはいつもの通り。
絵本ナビのランキング100に最近の絵本が少ないのは、児童向けというところから絵本も離れていっているのかもしれない。21世紀前後の「怒り」をもった、「怒り」を隠れもったストーリーはどこへ行っているのだろうか。このところ、絵本を追っかけていない私には見えていない。絵本の評論からも得るものがないのは、勉強不足の所為。
「声」について、竹内敏晴から学んだことなどを、「司書のことばは利用者にとどいているか」という文を「図書館評論」に発表したが、これといった反響はなく、「よみきかせ」の実技講習に役立っている辺りか。
講座は8/9・30 9/6・13・27とあり、9月下旬からまた「部落問題」の課題もどる予定。