「題名のない番組」など 卯月雑記2 残日録240425

木挽堂書店「劇評」4月号が届く。民藝店「べにや」から石川さんの箱が届いたので購入した陶器を送るとの電話があった。仮説実験授業のNさんとは上旬にメールでやり取りしたので、先の東京行は一段落した。「劇評」は三月上演の芝居の評なので、「ふうん」と読み流す。
年金生活一年が過ぎ、体調のせいでアルバイトもできずの日々。そろそろ節約生活に、世帯を
小さくしなければならないのだが、惰性の浪費がかさんでいる。少しずつ整理することになるのだろう。
クリーニング店で、手持ちの服を「メルカリ」に出す人がいるけれど、そういうことはしないのか、と聞かれた。蔵書もそうであるが、もう少し身辺が落ち着いたら、と返事した。いつ落ち着くのか、不明だが、忙しくしておれば無駄遣いも少しずつ落ち着くだろう、と楽観的だ。

このところ、部落問題・史について読んでいる。これは、昨年後半から今年度にかけてのテーマなので、時間を限っている。関係した本を、図書館から借りられる本は借りるとするが、県立から借りた本を繰り返し借りるのは面倒なので手元において置きたい本、県立・市立にない本などをアマゾンで買うことになり、これがそれなりの額になる。量も増える。県立図書館も書庫の収蔵冊数には限りがあるので、未所蔵だからといってどれでも寄贈を受け付けてくれることになるのか、それはないだろう。近畿圏内の府県立の何処かにあるから結構です、などということになりはしないか、と思う。どこにでもありそうな本は……。
随分前に書いて、ウイルス事故で消えてしまったが、教育界の「基礎・基本」について調べようとしたことがあった。諸説あるだけで、良くわからなままだった。そういうこともある。東京都政調査会だって良くわからないようだ。
素人ながら、少し詳しく学ぼうとすると、資料が簡単には手に入らないことにぶつかる。研究自体が進んでいないことを知ることもある。研究者が成果を発表してくれていなければ、元図書館員としては中途半端な文献収集にとどまるしかない。
研究は焦点が絞りきれていないと成り立たないが、図書館員が「部落問題」についておおよその「地図」を知っておくことができるようにという程度のまとめをしようとしているのだから、研究するところまでは至らないのだが、それでも私にとっては大事である。

『大阪の生活史』を図書館から借りて読んでいたが、体調のせいもあって途中まで読んで返却期限が着てしまった。次の予約が待っているので、返却して、予約しておいた。
インタビュー集だから、いろんな世代の人が登場しているので飽きない。なかにラジオの「題名のない番組」を思い出した人がいて、私も聴いていたので嬉しかった。検索したら「「題なし」ファンの広田」という御仁などが紹介していた。パロディを楽しむ番組だった。

漫筆日記・「噂と樽」「六代目・傳衛門」さんからの引用。

2011年07月29日 | しみじみした話

もう、半世紀ほども前の大阪に、
「題名のない番組」、通称「題なし」と云う「ちょっと変わったラジオ番組」があった。

ラジオ大阪と云う大阪でも弱小の局であったため、
電波がよく通らす、雑音に悩まされながら聞いていたことを覚えている。
  
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米朝 リスナーからね、
   「先週の放送で『今日は最低の寒さですね』と言うたやろ、

   最低の寒さとは最高の冬の暑さという意味である、
   ようそれで、SF作家などと称しておるよなあ」と。

小松 つまり、寒さが最低やから暑さが一番やとゆう。

米朝 そうゆうふうに解釈せないかんと、こうゆう。

菊地 そういえばそうだけど。

小松 ゴチャゴチャ細かいこといいなはんな、あんた。

   こないだもなんか知らんけど、暑かったあの日、
   ウチの梅がみんな咲いて、バナナがなったぞ、ほんま。」

米朝 嘘つけ……(笑)。
菊地 嘘ばっかり、ようそんなこと。

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米朝と有るのは、現在、人間国宝の桂米朝師。
菊地はラジオ大阪アナウンサーの菊地美智子さん。

そして「小松」と有るのがSF作家の小松左京氏。

「べいやん」、「こまっさん」と呼び合う、
お二人の息も合って、やってる方も実に楽しそうだった。

SF作家仲間の星新一氏や、
まだ「小米」時代の桂枝雀師などが、
前触れなくスタジオに現れるなど雰囲気も自由だった。

博覧強記のお二人だけに、
砕けた大阪弁が弾む座談の内容は縦横無尽。

それにあわせてリスナーから届く葉書のレベルも高かった。

とくに楽しかったのがパロディーの投書で、
上は「終戦の詔勅」から、下は聞いたこともない「小学校の校歌」までなんでもあり。

その中のひとつ。
   
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菊地 もときさんからの「貧乏」と題するパロディーです。

    障子破れて 桟(さん)があり
    蜘蛛の巣張って シケモク吹かし
    時に感じては 娘にも涙をそそぎ
    別れを恐れては 妻にも心を驚かす
    家賃は3ヶ月に連なり
    契約 晩期にあたる
    白頭かけば 更に短く
    すべて貧に勝えざらんと欲す

米朝 これは、ようできていますね。
菊地 杜甫の「春望」。
小松 「障子が破れて桟があり」ちゅうのね。五輪書とか、彼のは高級ですよね


パロディや諧謔が今日的には欠乏中だ。
枝雀がまだ小米だった頃から好きだったのはこの番組からではなかったか。大学生時代に東京の御仁に、関西の注目の落語家として小米を紹介したことがあった。小米時代からの枝雀ファンとしては、枝雀の早すぎる死が悲しい。1999年没。

2024年04月25日